ベクトル形式の画像を作成できる 無料の Inkscape で名刺のフチなし印刷をする

Inkscape で名刺のフチなし印刷を行いました。

チラシなどの印刷物を作るのにとても便利な、ベクトル形式の画像を作成できるソフトとしては Adobe Illustrator が有名ですが、同じようなことが出来る「Inkscape」というフリーソフトを使って名刺を作成しました。しかしこの Inkscape は印刷機能が少し弱いようで苦戦しましたので、そんな情報を提供してみたいと思います。

プリンターは名刺サイズが印刷できるプリンターが必要です。自分はプリンターを購入する基準としてこれを重視しました。名刺サイズが印刷できるプリンターは限られていますので、ご自分のプリンターが名刺サイズの印刷ができるかをご確認ください。A4サイズの紙で名刺サイズの紙が切り取れるタイプの用紙に印刷する方法は「こちらのサイト」が参考になると思います。

こちらの環境ではCanon MP630 を利用しており、印刷設定などに関してはこのプリンターでの解説となります。適宜、ご自分のプリンターや環境にあわせて読み替えてください。

今回はデザイナーの方に名刺のデザインを依頼しました。デザイナーの方は Adobe Illustrator を使っています。pdf ファイルをいただくのがとても簡単です。ai ファイルも取り込めますが、この際は一部注意が必要です。リンク指定された画像はうまく取り込めないようで、埋め込み画像としてデータをもらうことをおすすめします。アウトライン化していない文字は英字は表示されますが日本語は表示されませんでした。これは Inkscape が日本語のフォント名も英数名として管理しているのが理由のようです。日本語の表示自体に問題はありません。

Inkscape で用紙サイズの指定をするには「メニュー>ファイル>ドキュメントの設定」を開きます。名刺サイズらしきものは一覧にありましたが、今回は「カスタムサイズ」で単位「mm」を選択した上で、幅「55」高さ「91」を指定しました。横方向で印刷する場合は縦横のサイズを逆にしてください。境界線のオプションは全てチェックをしておくのがお勧めです。設定が完了したら「ドキュメントの設定」ダイアログを閉じます。

フチなし印刷を行う場合は、用紙から少しはみ出すようにして名刺をデザインします。デザイン状態でのはみ出し量は上下(または左右)で同じ量にしておくとこ の後の作業がやりやすいです。ここからフチなし印刷用に全体を用紙サイズに縮小します。マウスですべてのオブジェクトを選択して、縦横の比率をロックしたま ま高さ(または幅)を用紙サイズに縮めます。

今回は高さを「91」に変更しました。ここから位置を調整します。メニューより「オブジェクト>整列と配置」を表示します。配置基準は「ページ」に変更します。「選択オブジェクトをグループとして扱う」にチェックし、「中心を垂直軸に合わせる」「中心を水平軸に合わせる」をクリックして、すべてのオブジェクトをページの中心に揃えます。リサイズ前のはみ出し量が上下(または左右)で違う場合は中心になりませんので、微調整を行なってください。

メニュー「ファイル>名前をつけて保存」を開き、ファイルの種類は「Portable Document Format (*.pdf)」を選択してファイル名を入力します。こちらの環境ではファイル名に「.pdf」まで記述しないと拡張子が省略されてしまいした。拡張子まで入力するとよいでしょう。

「Portable Document Format」ダイアログが表示されるので、「テキストをパスに変換」「エクスポート領域はページ」に追加でチェックを行います。ラスタライズ解像度は「300」を指定しました。Inkscapeはここで終了して結構です。

保存されたPDFファイルをAdobe Reader で開きます。特別な設定がされていなければ PDFファイルは Adobe Reader で開かれます。正しく表示されていることを確認しメニュー「ファイル>印刷」を開きます。印刷ダイアログでプリンターの「プロパティ」ボタンを押します。

プリンターのプロパティで「ページ設定」タブを開きます。用紙サイズは「名刺」、ページレイアウトは「フチなし全面印刷」にチェックをします。「フチなし全面印刷」を選択した際に「推奨している用紙を選択してください」というダイアログが表示される場合は名刺の紙質に近い用紙を選択してください。こちらでは「インクジェットはがき」を選択しました。はみ出し量は「フチなし全面印刷を行うためにどれぐらい印刷を拡大させるか」という割合です。はみ出し量は「最小」にしました。Inkscapeで縮小した割合にもよりますが、テスト印刷を行なって印字が小さいと感じる場合ははみ出し量を変更して調整してみてください。


「基本設定」タブを開き、印刷品質を「きれい」に、色/濃度を「マニュアル調整」に変更します。(※「色/濃度」を自動にしていると、印刷の色が安定しないことがありました。)

設定が完了したら、OKボタンを押します。このとき「次の設定の組み合わせは推奨しません。用紙の種類:インクジェットはがき。用紙サイズ:名刺。用紙サイズをハガキに変更することをお勧めします。」と出ます。これは「フチ無し印刷」のために意図的にこのような設定にしています。このままの設定で良いので「変更しない」ボタンを押します。

印刷ダイアログで小さな印刷プレビューを再確認し、印刷ボタンを押します。

いかがでしたでしょうか?印刷がずれる場合はInkscape でレイアウトのズレを調整してみてください。フチなしになっていない場合はプリンターの設定を再確認してみてください。

▼参考サイト
http://adamas-inc.net/jibun/manual/674/

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